2024年11月8日、東京で初めて開催された「S2S (Science to Startup) Japan シンポジウム」は、約200名の研究者、米国のベンチャーキャピタリスト、日本の製薬会社の方々や政府の代表が集まりました。当日はファイナリストによるプレゼンテーションや講演が行われ、ネットワーキングの機会ともなりました。
本シンポジウムでは、資金調達を目指す6組の日本の研究者が、参加者、特にVCに向けて革新的な研究を発表しました。
6組のファイナリストは著名な大学や研究機関に所属しており、寄せられた100件近くの応募の中から選ばれました。ファイナリストは、最終プレゼンテーションに向けて、米国トップクラスのVCメンターと個別セッションを重ね、会社の戦略やプレゼンの準備に取り組んできました。
同イベントは、今回VCメンターを務めているRA Capital ManagementとAtlas Ventureが、約10年前に立ち上げた「米国版S2Sイベント」をベースにしています。日本版のS2Sは、米国の創設者とANベンチャーズのホーン川嶋健との合意により、開催が実現しました。
参加者の皆様からは、発表された研究のクオリティの高さ、研究者の方々の創造性と献身、そして研究内容の多様性について高い評価が寄せられました。RA Capital Managementのシニア・マネージングディレクターのレズニック氏は、「米国で10年間開催してきたS2Sイベントに匹敵するほど素晴らしいシンポジウムだった」としています。
また、シンポジウムでは、日本政府の方々によるライフ・サイエンス・イノベーションへの資金援助拡大についてのパネルディスカッションや、米国のトップ弁護士と会計士による起業ノウハウに関する講演が行われました。さらにジョンズ・ホプキンス大学の前学長で、大学の研究者が起業家になるのを長年支援してきたポール・ロスマン氏の講演も行われました。今回のS2Sからの学びは、「将来有望な科学を人々の生活を変える治療法に変えるためには、直感を信じ、リスクを取り、失敗を恐れないことが重要だ」ということです。スタートアップを生み出すためのインフラは不可欠ですが、それを後押しする企業文化の醸成はさらに重要です。
才能あふれるファイナリストの皆様と、その支援に全力を尽くされたメンターの皆様に、この場を借りて感謝の意を表します。
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中山雅敬氏(岡山大学)とエイデン・アセベス氏(Insight Partners)のチームは、慢性腎臓病(CKD)の進行を制御する新規タンパク質を特定し、その阻害剤を研究開発しています。
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中岡良和氏(国立循環器病研究センター)とアンドリュー・レヴィン氏(RA Capital Management)のチームは、薬剤耐性の肺動脈性肺高血圧症(PAH)の発症に関与する重要な経路を明らかにし、治療薬の開発に取り組んでいます。
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中谷智子氏/伊東祐二氏(鹿児島大学)とエイデン・アセベス氏(Insight Partners)のチームは、脳に影響を与える治療が困難な疾患に対する、高機能なドラッグデリバリーシステム(DDS)の開発に取り組んでいます。
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阿部洋氏(名古屋大学)とエリック・シオザキ氏(DCVC Bio)のチームは、化学合成mRNA・環状mRNAを用いた創薬プラットフォーム技術の開発に注力しています。
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松本征仁氏(順天堂大学)とエリック・シオザキ氏(DCVC Bio)のチームは、1型糖尿病の治療法を創出するための超効率的ダイレクトリプログラミング(SDR)技術の開発に取り組んでいます。
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小泉智信氏(理化学研究所)とジョシュ・レズニック氏(RA Capital Management)のチームは、「グリコアルブミン」というモダリティの開発に取り組んでおり、ドラッグデリバリーシステムや関連治療薬の開発に新たな革新をもたらす可能性があります。
最後に、このイベントを成功に導いてくださった全ての関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
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