グローバル・バイオテクノロジー・ベンチャーキャピタルであるAN Venture Partners(ANベンチャーパートナーズ、以下「ANV」)は、本日、1号ファンド「AN Venture Partners I, LP」を目標額である2億米ドル(約290億円)でファイナルクローズしたことを発表しました。本ファンドは、日本におけるバイオテクノロジー(創薬研究開発)特化型ベンチャーキャピタルファンドとしては過去最大級で、さらにグローバルでみても、過去1年間に設立されたバイオテクノロジー特化型の第1号ベンチャーキャピタルファンドとして最大級となります。

本ファンドには、株式会社産業革新投資機構(JIC)、塩野義製薬株式会社、大塚製薬株式会社、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行等、20社以上のリミテッドパートナー(LP)が出資しています。

ANVのマネージング・パートナーを務めるホーン川嶋健は次のように述べています。「1号ファンドを記録的な規模でクローズできたことを非常に嬉しく思います。ご支援いただいた全ての投資家およびアドバイザーの皆様に心より感謝申し上げます。また、共に取り組んできた投資パートナーであるアリ・ノワチェック、二見崇史、橋本淳の尽力に改めて謝意を表します」

「2023年12月に初の投資を実施して以降、『日本は未発掘の革新的なサイエンスの宝庫である』という私たちの仮説が確信に変わりました。ANVは、日本発のサイエンスに基づくバイオテクノロジー企業を発掘・投資・育成し、グローバルに成功させることで、投資家の皆様に大きなリターンを提供し、日本のバイオテクノロジー・エコシステムの発展に大きく貢献したいと考えています」

ANVは、バイオテクノロジー分野において世界をリードする米国のベンチャーキャピタル、ARCH Venture Partnersとの提携のもと2022年に設立されました。

ANVは、コンセプト実証(PoC)前から更に進んだ臨床段階まで、幅広い開発ステージの企業への投資を行います。投資対象はアカデミア発、大手製薬企業からのスピンアウト、またはその両方を組み合わせたバイオテクノロジーおよび関連分野です。また、特定のモダリティや疾患領域に限定せず、臨床において大きなインパクトをもたらす可能性のあるすべての分野を投資対象とします。本ファンドは日本発のサイエンスを中心に投資を行いますが、グローバルな投資も行います。また、ANVは、日本のエコシステムの現状を踏まえ、起業プロセスに積極的に関与し、創業者と二人三脚でグローバルなバイオテクノロジー企業への成長を目指します。

現在までに、キャパシティ・バイオ、タイプライター・セラピューティクス、シティ・セラピューティクス、インブリア・ファーマシューティカルズをはじめ、7社に投資を行っています。シティ・セラピューティクスは、シリーズAラウンドの大型調達を成功裏に完了し、複数の大手グローバル製薬企業との戦略的提携を発表しました。また、タイプライター・セラピューティクスは、日本医療研究開発機構(AMED)による「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」に採択され、開発を加速するための資金支援を受けています。投資先企業のうち3社は現在ステルスモードで事業運営されています。

ANVは、自社の投資活動に加え、2030年までに日本をバイオテクノロジー分野の先進国として地位確立を目指すという日本政府の主要政策を推進しています。本取り組みに基づき、当社はAMEDより「認定ベンチャーキャピタル」に採択されています。

また、ANVは、日本の主要大学の研究者、内閣府、関係省庁と連携し、日本のバイオテクノロジー・エコシステムの発展を推進すべく取り組んでいます。その一環として、米国発の「Science-to-Startup(S2S)」プログラムの初回イベントを2024年11月に開催し、約200名の科学者、起業家、投資家が参加しました。この取り組みは、日本の最先端のライフサイエンス研究を実用化に結びつけることを目指しています。日本の研究者をグローバルなベンチャーキャピタルとつなぎ、投資家や製薬会社に対して事業化のアイデアを発表する機会を提供することで、日本のバイオテクノロジー・エコシステムの発展に貢献することを目指しています。

 

ANベンチャーパートナーズについて

ANベンチャーパートナーズ(ANV)は東京とサンフランシスコに拠点を置き、日本の革新的なサイエンスと米国のスタートアップ・エコシステムをつなぐことに特化した、グローバルなバイオテクノロジー・ベンチャーキャピタルです。「AN Venture Partners I, LP」は、総額2億米ドルで2025年6月にクローズしています。ANVは、スタートアップの立ち上げや育成において豊富な経験を持つ日本と米国のベンチャーキャピタリストによって2022年に設立されました。ANVは、日本のバイオテクノロジー・エコシステムの強化に積極的に取り組んでおり、その一環として、「Science2Startup Japan(S2S Japan)」を立ち上げました。

 
本件に関するお問い合わせ
AN ベンチャーパートナーズ
info@an.vc

報道関係者からのお問い合わせ先
FGSグローバル
多田利恵子Phone: 070 3857 8698
笠原 佳世 Phone: 070 2492 2216
Email: pr@an.vc

ファンド概要

ファンド名
  • AN Venture Partners I, LP
ファンド規模
  • 2億米ドル (約290億円)
  • 20社以上のリミテッドパートナー(LP)が出資
運用期間
  • 10年間 (2023年12月から)
投資対象
  • 対象分野: バイオテクノロジー、またはバイオテクノロジー関連
  • 対象ステージ: 全ステージ (プレシード、シード、シリーズAまたはそれ以降)
  • 対象地域:

    • 日本のスタートアップまたは日本初のサイエンスイノベーション
    • 日本の技術を活かした海外のスタートアップ
投資先

投資先

キャパシティ・バイオ​

メカニズム: ​ ミトファジー・プラットフォーム ​

概要:​

  • 画期的なミトファジー治療プラットフォームを開発​

  • 同社チームは、ミトファジー(ミトコンドリアの分解・再生を誘発し、ミトコンドリアの質を向上させるプロセス)を引き起こす、薬剤標的可能な表面受容体を発見​

  • 同社のパイプラインは、神経筋疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、遺伝性希少疾患などの分野の可能性​

タイプライター・セラピューティクス​

メカニズム:​ TPRT遺伝子書き換え技術 ​

概要:​

  • 標的特異的に治療用遺伝子を挿入できる基盤技術をベースとして、mRNA医薬ベースの遺伝子治療の実用化を目指すスタートアップ​

  • 同社の共同創業者の1人である、東京大学の藤原晴彦名誉教授(同社のシニアリサーチャー)のトランスポゾンに関する研究成果などをベースに設立された​

  • 2024年12月にAMEDによる令和6年度「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」に採択​

シティ・セラピューティクス​

メカニズム: ​ RNAi創薬 ​

概要:​

  • siRNAの研究を手掛ける東京大学の泊幸秀教授と、米オハイオ州立大学の中西孝太郎教授の知財をベースに当社がARCH、およびAlnylamのFoundersと共同で創業した次世代型siRNA創薬企業​

  • 2024年10月に135百万ドルでのシリーズA調達を完了​

  • 2025年1月にBausch+Lombと、2025年5月にBiogenと、それぞれ最大485百万ドル、最大十億ドルのマイルストーン支払いを含む戦略提携を発表​

インブリア・ファーマシューティカルズ​

メカニズム:​ 部分的脂肪酸酸化阻害薬​

概要:​

  • 非閉塞性肥大型心筋症(nHCM)や駆出率保持型心不全(HFpEF)等の治療薬を開発​

  • 部分的脂肪酸酸化阻害剤であるninerafaxstatにより心筋のエネルギー代謝を脂肪酸からグルコース利用へとシフトさせ、エネルギー効率を向上させる​

  • 2025年4月に58百万ドルでのシリーズB調達を完了し、主にnHCMのPhase 2b治験の推進に充当される​